日々気まぐれにつらつらと
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ブログログとか作って
サルベージする日が来るんだろうか
サルベージする日が来るんだろうか
動く気が起こらず、庭院にごろりと転がる。
春もうららかな、心地よい風が吹く。
もうどれほどのときを無為に過ごしてきただろう。
「蘇芳」
呼ぶ声に、目を開ける。
「……兄貴」
自分とは違い、整った顔を持つ(と周防は思っている)正真正銘血の繋がった兄がそこにいた。
兄は要領がいい。朝廷でも蘇芳とは違い、潰されずに今も働いている。
そして、潰された蘇芳に何も言わなかった。
人一倍厳しい兄だった。
父親が言うまでもなく自らの手で官位をもぎ取り、自らの努力によって出世していった。
国試に受かるまで夜は部屋の明が消えなかったことも知っている。
家を出て行った後もたゆまぬ研鑽を積み、今では重要な地位にいるのだとか。
どれもこれも周防には関係ない話であったが。
それでも敬愛する兄であり、いつでも元気でいて欲しいと思っている。
しかし、それが何故ここにいるのか。
「……クビ?」
「お前じゃあるまいし」
辞めるならクビより先に辞表を叩きつけている。
冗談めかして兄はそう言った。
「今日は公休日だよ。
久々にお前の顔が見たくてね」
「……親父のは?」
「さぁ?
俺が帰ってきてるのに気づいたら、及第点やってもいい」
兄は努力しない人間が好きじゃない。
蘇芳だけが、何故かいつだって例外だ。
そうやって甘やかしてくれるから、いつだって体重を預ける。
拒まないと、知ってしまっている自分を愚かしいと思う。
「食事でも行かないか?
もちろん俺の奢りだ」
「……行く」
「よし。
頭についた葉を払ってこいよ」
この笑みをもらえるのは自分だけだ。
他の誰も、この笑みは与えられない。
少なくとも、このうちでは。
外のことなんて、知らないから。
ただ今だけは、笑顔も兄自身も、蘇芳の目の前にあった。
春もうららかな、心地よい風が吹く。
もうどれほどのときを無為に過ごしてきただろう。
「蘇芳」
呼ぶ声に、目を開ける。
「……兄貴」
自分とは違い、整った顔を持つ(と周防は思っている)正真正銘血の繋がった兄がそこにいた。
兄は要領がいい。朝廷でも蘇芳とは違い、潰されずに今も働いている。
そして、潰された蘇芳に何も言わなかった。
人一倍厳しい兄だった。
父親が言うまでもなく自らの手で官位をもぎ取り、自らの努力によって出世していった。
国試に受かるまで夜は部屋の明が消えなかったことも知っている。
家を出て行った後もたゆまぬ研鑽を積み、今では重要な地位にいるのだとか。
どれもこれも周防には関係ない話であったが。
それでも敬愛する兄であり、いつでも元気でいて欲しいと思っている。
しかし、それが何故ここにいるのか。
「……クビ?」
「お前じゃあるまいし」
辞めるならクビより先に辞表を叩きつけている。
冗談めかして兄はそう言った。
「今日は公休日だよ。
久々にお前の顔が見たくてね」
「……親父のは?」
「さぁ?
俺が帰ってきてるのに気づいたら、及第点やってもいい」
兄は努力しない人間が好きじゃない。
蘇芳だけが、何故かいつだって例外だ。
そうやって甘やかしてくれるから、いつだって体重を預ける。
拒まないと、知ってしまっている自分を愚かしいと思う。
「食事でも行かないか?
もちろん俺の奢りだ」
「……行く」
「よし。
頭についた葉を払ってこいよ」
この笑みをもらえるのは自分だけだ。
他の誰も、この笑みは与えられない。
少なくとも、このうちでは。
外のことなんて、知らないから。
ただ今だけは、笑顔も兄自身も、蘇芳の目の前にあった。
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