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日々気まぐれにつらつらと
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なにやらとっても短かった気がします
・・・何をする間もなく一週間が過ぎるってこれどうよorz
毎日てんてこ舞いですわ~
そしてこの週末も自主課題がもっさり
ノフ●

 翳した指はとても細くて。
 幼いころ頭を撫でてくれた父の手とは到底違った。
 何故、あのような手になれなかったのか。
 答えは明白だ。
 世界が、不幸だから。
 
 もう食べるものもない。
 指でもかじろうかと思ったが、その出血で死んでも元も子もない。
 
 どうせ死ぬなら、早い方がいい。
 
 助けなんて、ない。
 
「っ!
 ちょっと待て!!!」
 
 ぐいっと、力強く引き戻される。
 早くしないとこの家を支えてる木だって腐る。
 腐っても建て替えることもない。
 木材だって不足してる。
 俺にそんな力もない。
 
 首を吊って死ねない。
 
「待てって!
 お前、何してんだ!!!」
 
「見りゃ分かるだろ。
 もぅ、何にもないんだ」
 
 村の半数以上が死に絶えた。
 その後を追っても、誰も悲しまない。
 
「悪い……。
 俺に力がないばっかりに、誰も彼も苦しんでる」
 
「……?
 アンタ……」
 
「少しでもよくしてくから。
 少しでも変えていくから。
 まだ、死なないでくれ……!」
 
 年はそう変わらないどころか、少し年下かもしれない。
 体つきもよく、精悍な顔立ちだが、歪んだ顔が幼い。
 そう、幼い。
 
「州牧……?」
 
 だいぶ前に茶州にきたって言う州牧は、聞けば聞くほど幼くて。
 そんなやつにどうして俺たちが救えるんだって、そう思ってた。
 それがなかなかにやるって他の街で聞いたりしてた。
 けど、この村にはまだ及ばない。
 この村は死に絶える。
 
 俺は、もう救われないんだと思ってた。
 
「俺より他のやつ助けてやれよ。
 もっと他に、簡単に助かるやつ、いるだろ?」
 
 黄泉生き寸前を助けるよりは、はるかに合理的だ。
 
 
 
 それに俺は、アンタに何も返してやれない。
 
 
 
 もっとたくさんのやつ助けてくれよ。
 アンタならできるよ。
 
 アンタだけだから、ここにきてくれたのは。
 
「頑張れ、州牧――」
 
 もぅ目が霞む。
 首なんか吊らなくても、どうやら逝けるらしい。
 
 周りの何もかもが懐かしい。
 台所に立っていた母親。
 一緒に駆け回った弟たち。
 大きな背中をしていた、父親。
 
 巡るように脳裏に浮かび上がっては消え、
 
 
 
 そして俺の意識も途絶え―――――。
 
 
 
 
 
 
 
 目が覚めると茶州府だったのは驚きだ。
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